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福島県いわき市|介護の魅力を再発見──いわき市が挑む人材定着支援のかたち

取材:2025年7月4日 いわき市 保健福祉部 高齢福祉課

福島県いわき市では、介護職員の定着と育成を目的とした「介護の仕事の魅力発見!研修」を実施しました。対象は就業5年未満の若手職員。日々の業務で抱える「もやもや」を共有しながら、介護の仕事の魅力や働きがいを再確認する取り組みです。

掲載内容をさらに詳しく知りたい、自治体へコンタクト希望の場合には「お問い合わせ」フォームからご連絡お願いいたします。

背景にある課題ー人材不足と離職要因

いわき市担当者は、介護人材をめぐる現状について次のように語ります。

 「高齢化が進む中で介護を必要とする人は増えていますが、それを支える人材は減少しています。介護の仕事はやりがいがあると考えて入職してくれる方が多い一方で、人間関係や職場環境を理由に辞めてしまうケースが後を絶ちません。」 

この課題を受け、市はこれまで中堅職員向け研修を実施してきましたが、令和6年度は対象を大きく広げ、就業5年未満の若手職員に焦点を当てました。経験の浅い段階から仲間と悩みを共有し、支え合える環境を整えることが、離職防止と人材定着につながると考えたからです。

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研修の工夫と雰囲気ー「もやもや」を出し合う安心の場

今回の研修では、まず参加者が「もやもや」と感じている悩みや不安を率直に言葉にすることから始まりました。グループごとの話し合いでは、職場の人間関係や業務の壁について意見が交わされ、「自分だけではない」という共感が生まれ、安心感が広がりました。

担当者はこう振り返ります。
「批判されない、安心して話せる場づくりを意識しました。愚痴も含めて自由に発言できることで、参加者の気持ちが軽くなり、『一人ではない』と感じてもらえたのではないでしょうか。」

続いて行われたゲスト講師によるトークでは、実際の現場での経験や困難をどう乗り越えてきたかが紹介され、参加者にとって大きな刺激となりました。午後のプログラムでは「ワールドカフェ方式」を導入。グループを移動しながら他者の意見に触れ、自らの考えを整理する中で、新しい気づきや前向きな目標が生まれました。

会場全体はアットホームな雰囲気に包まれ、自由で活発な意見交換が行われました。

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参加者の声と反応ー交流と気づき

アンケートでは94件の回答が寄せられ、約9割が「満足」または「やや満足」 と回答。

  • 「他の事業所の方と交流でき、新鮮で刺激になった」
  • 「悩みを共有できて、明日から頑張ろうと思えた」
  • 「研修で得た学びを職場に持ち帰りたい」

など、ポジティブな声が多く集まりました。

担当者はこの反応をこう受け止めています。

 「研修を終えた後、多くの方から『来年もぜひ続けてほしい』という声をいただきました。数字では測れない部分ですが、こうした声こそ大きな励みです。」 

実施の工夫ー協働による継続性の確保

こうした事業を続けていくには、市単独での努力だけでは限界があります。いわき市では、行政だけでなく、民間企業や関係団体とも協働しながら事業を展開しています。

「一つの組織だけで支えるのではなく、さまざまな主体と協力することで、より継続的で実効性のある取り組みにできます。こうしたネットワークづくりは、地域全体で介護を支えていく上でも大切だと感じています。」

担当者の言葉からは、温かさと同時に「つながりを大事にしたい」という想いが伝わってきます。

成果と今後の展望ー「三本柱」で支える

離職率や定着率などの数値改善には時間がかかるため、現時点で効果を示すことは難しいといいます。しかし担当者は、こう強調します。

「短期間で成果を出すのは難しい分野です。だからこそ、継続が大切。行政だからこそできる場の提供を通じて、人と人のつながりを支えていきたいと考えています。」

さらに続けて、次のように強調しました。
「参加者が前向きな気持ちを持ち帰り、現場で働き続ける力になっていることが最大の成果です。」

今後はいわき市独自の工夫として、研修の継続だけでなく、介護人材の新規確保・定着・情報発信の「三本柱」で取り組みを進めていく構想も語られました。

「人材を新たに確保する取り組みと同時に、今いる職員がやりがいを持って働き続けられるよう支援を続けていきます。また、介護制度や最新技術などの情報を、現場にわかりやすく伝える仕組みづくりも強化していきたいです。」

その言葉には、現場に温かく寄り添いながら未来を見据える、市の姿勢がにじんでいます。

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担当者からのメッセージ

最後に、担当者はこう呼びかけます。

「市の都合を押しつけるのではなく、現場の声に寄り添うことを何より大切にしています。研修や取り組みを通じて、一人でも多くの職員が介護の仕事を続けたいと思えるような環境づくりに力を注ぎたいです。住みやすいまち、働きやすいまちを目指し、できることを一つひとつ積み重ねていきたいと考えています。」

写真左から、
いわき市 保健福祉部 高齢福祉課 緑川 智則 様、
いわき市 保健福祉部 高齢福祉課 吉田 和貴 様、
いわき市 観光文化スポーツ部 観光振興課 小針 忍 様(本研修開催時は保健福祉部 高齢福祉課に所属)

まとめ

いわき市が実施したこの研修は、若手職員が仲間とともに介護の魅力を再発見し、前向きな気持ちで働き続けるための大切な場となりました。担当者の想いと参加者の声が重なり合い、地域における介護人材定着の新しい可能性を示しています。

研修の詳細は いわき市公式サイト でご確認いただけます。

※本文中の研修風景写真は、いわき市事業実施報告書より引用しています。

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