今年度北上市で のうKNOW®を導入された経緯やきっかけと事業の概要を教えてください。
前任者がエーザイさんから「のうKNOW」をご紹介いただき、今年度から私が担当になりました。脳の健康度を簡単にチェックできるツールがあるということで、当市でも事業で「のうKNOW」を活用しようと考え、今年度からスタートしました。
※「のうKNOW」は疾病の予防や診断を目的としたものではありません。
なぜ、まちの保健室を「のうKNOW」を用いた「タッチde脳の健康度チェック」の実施に活用しようと思われたのですか?まちの保健室での活用事例をご紹介ください。
全国的にもまちの保健室は多くありますが、当市では週1回開催しており、参加者も少しずつ増えてきたと感じています。気軽に参加できる場所で「のうKNOW」を体験してもらえればという思いがありましたので、まちの保健室を活用してみようと考え、認知症月間である9月からスタートしました。はじめは参加者に事前に案内し予約制で毎週実施していましたが、10月からは月の最終週のまちの保健室の参加者にその場でお声がけし、参加いただいています。
普段、住民の皆様から、認知機能に不安を覚え、ご相談を受けるケースはありますか?
市の窓口に相談にいらっしゃるほか、地域包括支援センターにご相談にされるケースもあります。主な相談内容は、もの忘れなのか既に少し認知症なのか分からないとか、認知症の心配があるがどこの病院を受診したらよいかというご相談があります。
実施された対象年齢、人数等を教えてください。
市内在住で40歳以上の方を対象に募集し、実際に「のうKNOW」を体験されたのは40~80代の方でした。平均年齢は72歳で、男性10名、女性54名の合計64名でした。
住民の反応や感想から当初期待した効果や反応は得られましたか?どのようなところが期待に応えられましたか?
さまざまな反応がありましたが、「こんなの(ツール)があるんですね」とか、「ゲーム感覚で楽しかった」という反応が多かったと思います。お友達同士で参加された方は、互いに脳年齢を比較し合い、楽しみながら参加されている様子が見えました。まちの保健室では、受付の際スマートフォンで二次元コードを読み込むと、きたかみ健康福祉ポイントが付与されますが、毎回来ている方でもスムーズに操作ができない方もいます。「のうKNOW」も二次元コードを読み込む際に苦労される方がいました。「のうKNOW」の結果表には、生活習慣で気を付けたい12項目を載せていますので、生活スタイルを振り返る方もいらっしゃいました。何より、市民に脳の健康度について関心を持っていただいた事が一番の収穫でした。
実施後のフォロー、今後どのように活用していくと住民の関心を高めることができると思いますか?
実施後のフォローとしては、結果が心配であれば認知症地域支援推進員がその場で相談に乗る体制を取っています。「北上市認知症安心ガイド」をお渡ししたり、どこの病院を受診したら良いかという医療へのつなぎまで行うのですが、今のところはそこまで深刻な方はいらっしゃいませんでした。市民の関心を高めるために今年度はまちの保健室をベースとしながら、「きたかみいきいき体操」などの通いの場や、病院祭などの地区のイベントでも活用の幅を広げています。まちの保健室は参加者の年齢が少し高いので、40~50代の方にも自分事としてゲーム感覚で「のうKNOW」を体験してもらい、関心が高まると良いと思っています。
取り組みとして、住民の皆様への広報・運用面での工夫があれば教えてください。
今回初めて、当市の広報紙に案内を載せます。また、市内に5つある地域包括支援センターと協力し、案内チラシを地区の集まりや「きたかみいきいき体操」などで配布し、日ごろから顔なじみの関係の中で「脳の健康度チェックをやってみませんか」と声掛けして、体験者を増やしていきたいです。