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長野県東御市|市民の皆様の認知症への理解を促進し、早期からの介入を目指す

取材:2024年8月5日 東御市役所 健康福祉部 福祉課 青木 朋子 様

1)認知症を当たり前と捉える環境づくりが重要

まだまだ市民の皆様の中に昔の認知症の悪いイメージが強く残っているような気がします。今でも行政や医療機関に気軽には相談しにくいようで、相談に来られたとしても早期の段階ではなく認知症がかなり進んでしまっている方が多い印象です。そのため、東御市地域包括支援センターの認知症施策では認知症の啓発によって住民の皆様に認知症をよく知っていただくことに最も力を入れています。

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認知症は誰でもなってしまう可能性がある疾患であり、住民の皆様に認知症をもっと身近に感じていただき、認知症を自分事として皆様に考えていただくことが重要ではないかと思っています。その結果、MCI(軽度認知障害)や発症早期の時点での相談が増えて、認知症に早期介入できることを目指しています。

実際の取り組みとしては、認知症の方やご家族を支援できる“人づくり”が最も重要だと考えており、サポーター養成講座やチームオレンジ構築にとくに力を入れています。東御市の認知症サポーターは、令和6年9月6日現在で2,678人となり、市の人口の1割近くにまで増えてきています。

2)脳の健康度チェック のうKNOW®を活用し、より早期からのアプローチを目指す

脳の健康度チェック「のうKNOW」は、認知症啓発事業の一環として2024年度から取り入れてみました。「のうKNOW」はゲーム感覚でトライできますし、セルフチェックもできるので、受診する前のより早い時期に自分の認知機能低下に気付いていただき、早い時期から脳の健康に意識をいただいたり、包括や医療での早期介入に繋げたりできるのではないかと思っています。とくに、遊び感覚で実施できる「のうKNOW」のLINE通知ようなものは、今まで相談が少なかった男性に対して興味を持っていただき、相談に繋がる可能性があるのではないかと期待しています。

脳の健康度チェックは、地域包括支援センター(総合福祉センター)に「のうKNOW」を常設していつでも実施できるようにしています。実際には、予約をしてくる方もいますが、突然来られて脳の健康度チェックをやってみたいという方もいらっしゃいます。その場でのご希望に応じてですが、センターの個室に移動してタブレットで「のうKNOW」を実施いただくか、二次元コード用紙をお渡ししてご自身のスマホでご自宅に帰ってから実施いただくか、としています。今までの認知症の検査は嫌がられることが多くて、簡単にはやっていただけなかったのですが、「のうKNOW」だったら自然な形 で気軽にテストを受けていただけるような印象です。また、脳の健康度チェックを目的とした包括へのご来訪によって、気軽にご相談していただける機会ができますし、「のうKNOW」の結果によっては、我々が積極的に早期介入するきっかけにもできると感じています。 

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現在の脳の健康度チェックの実施状況としては、まだ今年の6月から開始したばかりなのですが、すでに25名の登録があり、実施完了した方は現在12名います。年齢も50歳台の方から90歳台の方までと様々です。他の介護予防施策と異なり、男性も含めてご夫婦やご家族でご希望される方が見られることが特徴的だと感じています。そのうち、一人は認知機能が心配だということで医療機関の受診をご希望され、ご家族に市民病院の予約をしていただきました。また、そのような際にはご本人やご家族の同意を得てから市民病院に包括から「のうKNOW」の結果や関連情報もお伝えしています。

なお、脳の健康度チェック「のうKONW」の周知方法ですが、脳の健康度チェックのちらしを作成して、健診の郵送での案内の際に同封して希望者を募集しました。そのほか、東御市ではご希望された市民にLINEでの連絡網を構築していますので、先日はそのLINEを使っての脳の健康度チェックの周知をしてみました。比較的若い方からLINEを見てのお問い合わせも入ってきている状況です。また今後は、東御市では健診受診の場合にポイントが付く仕組みがありますので、「のうKNOW」をポイント項目に入れて、健診の中での検査として周知し、希望者に実施することも考えてみたいと思っています。

※「のうKNOW」は疾病の予防や診断を目的としたものではありません。

3)認知症初期集中支援チームの活動を通じて医療介護で連携

東御市の認知症初期集中支援チームは、地域包括支援センターのスタッフ、東御市民病院の岩橋院長とスタッフ、認知症介護指導者を含めた市内のケアマネージャーのメンバーで構成されています。メンバーでいつも一緒に活動しており、2ケ月に1回の定期的な対象者検討会のほか、緊急訪問等の対応もしています。

東御市民病院のメンバーには、脳神経内科の院長のほか、認知症認定看護師の方もいて、一緒に活動をしているだけでなく、包括の行事などにも参加をいただいています。様々な相談や依頼もしやすいですし、十分な情報交換もできていると思っています。しかし、初期集中支援チームの支援活動は、認知症の初期の段階からアプローチできることは少なく、認知症が進行して生活での困りごとが大きくなってからの相談になっているのが現状です。これをMCIの段階などの初期からの支援ができるように変えてゆく課題を感じています。

4)MCI等への診断後支援を開始

東御市では、MCIなどの認知症初期の段階に不活動となることを防ぐ目的で、2024年度10月から「認知症特化通所型C」という認知症介護予防事業の新規プログラムの開始を予定しています。MCIの方や初期の認知症が疑われる方で介護サービス未利用者を対象に、リハビリ等の専門職員が6か月間集中的に関わり、外出の機会を作って認知症予防に繋げることを目的とします。

このようなプログラムを作った背景としては、医療機関でMCIと診断されても何もせずに過ごしている方(空白の期間)が多く、認知症がかなり悪化してからまた医療にアクセスして対応が難しくなることが起こっているからです。実際には、市民病院の外来でMCIと診断された方を初期集中支援チームに連絡をいただき、リハビリ職や包括の職員で介入に入って、個人の生活スタイルや

移動販売チラシ

趣味に合わせて、日常生活や趣味、運動等を継続いただけるように様々な個別支援をする予定になっています。MCI段階から孤立させずに、もし症状が進んでも次の段階の支援に繋げようとするMCI等の診断後支援の試みになります。


早期認知症やMCI等の高齢者は、買い物についても家族任せになっている方が多くいますので、ドラッグストアのウエルシアさんにご協力をいただき、ウエルシアさん所有の移動販売車「うえたん号」を活用して、楽しみながらご自身の選択での買い物を継続いただくような取り組みを進める予定としています。

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「脳の健康度チェック事業」サポートのご提案
脳の健康度チェックは、体重や血圧のように気軽に自身の認知機能の状態を知ることを目的としています。「脳の健康度チェック事業」ではチェックそのものの実施に加え、地域住民の方々への広報活動、チェック後のフォローアップまで含めた取り組みをご支援いたします。ぜひ貴自治体においても何なりとご相談ください。
事業に活用する、脳の健康度チェックツール のうKNOW®(ノウノウ)
「のうKNOW」はブレインパフォーマンス(脳の健康度)のセルフチェックツールです。トランプカードを使ったゲーム感覚の4つのチェックで「記憶する」「考える」「判断する」などの脳のパフォーマンスをチェックできます。テスト結果では同年齢の平均と比べた、脳の健康度を確認できます。定期的にチェックすることで、以前の結果と比較することも可能です。
※「のうKNOW」は疾病の予防や診断を目的としたものではありません。
見積もりシミュレーション
脳の健康度測定(「のうKNOW」)、イベント運営の概算費用を算出できます。