新潟県長岡市|MCIを見逃さない地域づくりを目指して

演者:長岡市 保健福祉部 長寿はつらつ課 地域包括ケア係 保健師 佐藤君子様

セミナー開催日:2026年5月27日(記事作成日:2026年10月9日)

もの忘れ相談会から始まる早期発見・早期対応

セミナーでは、新潟県長岡市(以下、市)が取り組む「もの忘れ相談会」の実践報告を通じて、認知症になってから支援するだけでなく、早い段階で気づき、相談し、必要な支援や医療につなげる地域づくりについて紹介されました。

また、MCIや認知症の早期発見だけでなく、診断後も本人や家族が地域で安心して暮らし続けられるための仕組みづくりについて、多くの示唆が得られる機会となりました。

市が取り組む「もの忘れ相談会」

市では、認知症施策の一環として「もの忘れ相談会」を実施しています。相談会は、MCIや認知症の早期発見・早期対応を目的として開催されており、脳の健康度チェックや相談を通じて、受診や支援が必要な方を適切な機関につなぐ役割を担っています。

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対象は主に60歳から74歳(現在は、79歳以下)の市民で「本人または家族にもの忘れの自覚があり、認知症について受診したことがない」とされています。市広報やホームページなどを活用しながら参加者を募り、気軽に相談できる機会を設けていることが紹介されました。
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令和7年度の結果では、相談会参加者の中から医療機関受診や経過観察、地域包括支援センターとの連携につながったケースが報告されており、早期発見だけでなく、その後の支援を見据えた取り組みとして機能していることが示されました。

注)「もの忘れ相談会」における「のうKNOW®」の結果を参考に保健師による問診や生活指導を通じて、本人・家族の意向を確認した上で希望者に医療機関を紹介しています。

注)のうKNOW®は医療機器ではありません。疾病の診断や予防を目的としていません。

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1.「気になる」を放置しない相談の入口が重要

認知症施策では、症状が進行してから支援につながるケースが少なくありません。
セミナーでは、本人や家族が「少し気になる」と感じた段階で相談できる場を地域に用意することの重要性が共有されました。もの忘れ相談会はその入口として機能しており、医療機関受診に対する心理的なハードルを下げる役割も果たしています。
早期発見のためには、専門職だけではなく、地域住民が認知症について正しく理解し、「まず相談してみよう」と思える環境づくりが欠かせないことが改めて示されました。

2.診断後支援まで見据えた切れ目のない連携

市の発表では、早期発見から診断後支援までの流れの中で、それぞれの段階に課題があることが整理されました。重要なのは、脳の健康度チェックや医療受診そのものではなく、その後も本人や家族が安心して暮らし続けられることです。
市では、医療機関や認知症疾患医療センター、地域包括支援センターなどと連携し、受診確認や保健指導、地域での見守りへとつなげる体制を構築しています。また、定期的な勉強会や会議を通じて、それぞれの専門職と行政が顔の見える関係を築きながら、市民にとってよりよい認知症支援のあり方を継続的に検討しています。
このような連携体制は、認知症の支援が「診断して終わり」ではなく、診断後こそ継続した支援が重要であることを支える基盤となっています。

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3.本人が地域の一員として活躍できる地域づくり

市では、認知症の方を「支援を受ける人」としてだけではなく、地域の一員として捉える視点を持っており、認知症施策には、認知症フォーラムや認知症カフェ、ミーティングセンター、若年性認知症本人・家族交流会、本人・家族ミーティングなど、多様な取り組みが位置付けられています。
こうした活動は、認知症の方や家族の孤立を防ぐだけでなく、本人が地域とのつながりを持ち続け、自分らしく暮らしていくための土台となります。

まとめ

今回のセミナーでは、「認知症になってから支援する」のではなく、「気づき・相談・医療・診断後支援・社会参加」を地域の中でつなげていくことの重要性が共有されました。
また、認知症の方を地域の一員として捉え、その人らしい暮らしや役割を支える視点の大切さも改めて示されました。
市の取り組みは、行政と医療・介護の専門職が日頃から連携しながら地域課題に向き合い、本人と家族を中心とした支援体制を育ててきた実践例といえます。
認知症共生社会の実現に向けて、多様な主体が協力しながら地域全体で支えていくことの重要性を改めて考えさせられるセミナーとなりました。

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※「のうKNOW」は疾病の予防や診断を目的としたものではありません。
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